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大掃除で傘立てを整理したら、誰のものか分からないビニール傘が何十本も出てきた——総務なら覚えのある光景ではないでしょうか。
この記事では、見過ごされがちな置き傘の「本当のコスト」の中身と、今日からできる対処法を整理します。
置き傘の「本当のコスト」は傘の値段ではない

ビニール傘は1本数百円ですが、問題は「1本」で終わらないことです。
社員が急な雨のたびに買い、オフィスに残していく形で本数は増え続け、やがて誰が置いたのか分からなくなります。
ここで発生しているコストは経費の伝票に載らないため、多くの会社で見過ごされたままになっています。
コストの種類 | 中身 |
|---|---|
スペースのコスト | 埋まった傘立てが占める床面積。エントランスの限られたスペースを圧迫します |
管理・処分のコスト | 持ち主不明の傘を告知し、保管し、処分するまでの総務の工数 |
使い捨てのコスト | 社員が毎回買うビニール傘の出費。ほとんど再利用されずに廃棄されます |
「使えない」コスト | 傘立ては埋まっているのに、いざ雨の日に自分が使える傘がない機会損失 |
この4つはどれも、「傘を安く買う」ことでは解決しません。
むしろ安い傘を都度買うほど本数が増え、上の3つが膨らんでいきます。
置き傘のコストは傘の単価ではなく、「たまり続ける仕組み」そのものに宿っています。
なお日本全体で使い捨てられている傘の量を示す公的な統計はありませんが、自社の実数は傘立てを一度数えるだけでつかめます。
なぜ傘立ては一方通行で埋まり続けるのか

原因は社員のだらしなさではなく、置き傘という仕組みの構造にあります。
雨の日に置き傘を使って帰宅すると、その傘は自宅に持ち帰られます。
翌朝晴れていれば持ってこないので、傘立てからは1本減ったままです。
逆に、傘を持たずに来た日に急な雨が降れば、社員はコンビニで新しく1本買い、それをオフィスに残していきます。
この繰り返しで、「使いたい人の手元に傘がなく、傘立てには持ち主不明の傘だけがたまる」一方通行が生まれます。
個人の置き傘は私物なので、他の社員が使うこともできません。
傘立ては共用スペースなのに、中身は私物の集合になってしまうわけです。
裏を返せば、この流れが止まる条件ははっきりしています。
借りた傘を、オフィス以外の場所でも返せることです。
帰り道の駅で返せるなら、傘は自宅に持ち帰られず、翌朝忘れることもなく、傘立てに死蔵されません。
片づけを頑張るより、この条件を満たす仕組みに置き換えるほうが、コストはまとめて軽くなります。
仕組みの選び方は「置き傘の再定義|『1本持つ』から『使える状態を常備する』へ」でも詳しく解説しています。
自宅に使える傘があるのに、コンビニなどでビニール傘を買った経験がある人は66.8%というアンケート結果もあります。
傘は「持っているか」ではなく「その瞬間に手元にあるか」で買われている、という一例です。
傘立ては、片づけと定員決めだけでも変わる

仕組みを変える前に、すぐできる手当てもあります。
傘立ての収容本数に対して現在何本あるか、名前入りの傘は何本かを一度数え、定員を決めておくだけでも「気づいたら満杯」を防げます。
四半期や大掃除のタイミングで棚卸しする日をカレンダーに入れておけば、突発的な整理作業も減ります。
持ち主不明の傘をまとめて処分する際は、いきなり捨てずに社内告知と一定期間の保管をはさむのが無難です。
オフィスから出る傘は事業系のごみにあたるため、自治体や契約している収集業者のルールに沿って処分します。
告知は「対象・期限・保管方法・処分日」を1通にまとめ、日付を具体的に切ると社員が動きやすくなります。
夏は「移動時の熱中症対策」にもなる
2025年6月、労働安全衛生規則に第612条の2が新設され、職場の熱中症対策が事業者の措置義務になりました。
「オフィス勤務だから関係ない」と思われがちですが、厚生労働省の通達(基発0520第6号・令和7年5月20日)は対象となる場所についてこう明記しています。
「必ずしも事業場内外の特定の作業場のみを指すものではなく、出張先で作業を行う場合、労働者が移動して複数の場所で作業を行う場合や、作業場所から作業場所への移動時等も含む趣旨である」
対象となるのは暑熱な場所(WBGT28度以上または気温31度以上)で継続的に作業する場合が中心ですが、通達は対象外の場合も「改正省令に準じた対応を行うよう努めること」を求めています。
求められる措置は、体調不良を報告できる体制の整備、重篤化を防ぐ手順の作成、それらの周知の3つです。
制度の全体像は「熱中症対策の義務化とは?企業がやるべきこと総まとめ」にまとめています。
ここで置き傘の話とつながるのが、日傘の効果です。
環境省の実験では、日射を99%以上カットする日傘を使うと汗の量が約17%減り、日向に比べてWBGT(暑さ指数)が1〜3℃ほど下がりました。
クールビズ単独では約11%の低減にとどまるところ、日傘を併用すると合計約20%程度まで下げられるとも示されています。
雨の日の傘立てを、夏は日傘置き場としても機能させれば、同じスペース・同じ予算で二つの課題に効きます。
オフィスの傘の悩みを、仕組みで解決する「アイカサOffice」
置き傘が溜まり続ける構造を断つ方法として、傘シェアという選択肢があります。
仕組み全体は「アイカサOfficeとは?仕組み・活用シーン・導入の流れ完全ガイド」でも詳しく解説しています。
「アイカサ」は、"雨の日も晴れの日も快適にハッピーに"、"使い捨て傘をゼロに"をミッションに2018年12月にサービスを開始した、日本初の本格的な傘のシェアリングサービスです。
アプリ会員数は約100万人(2026年7月時点)、12都道府県・全国1,000駅以上、合計約2,500か所にスポットを設置しています。
法人向けの「アイカサOffice」は、この仕組みをオフィスに持ち込むサービスです。
オフィスで借りた傘は帰りに最寄り駅で返せて、駅で借りてオフィスで返すこともできます。
専用の傘立てはアプリ登録なしで使え、晴雨兼用の傘なら夏の暑さ対策にもなります。
傘の補充・メンテナンス・問い合わせ対応はアイカサ側が担当し、利用実績もレポートで確認できます。
傘は使い捨てず、壊れても修理して使い続ける前提で設計されています。
料金は企業規模に応じた月額制です。
※『アイカサ』を1回レンタルすることにより、CO2約692gの削減に貢献します。(参照:環境省3R原単位の算出方法より https://www.env.go.jp/press/files/jp/19747.pdf)
よくある質問
Q1. たまった置き傘は勝手に捨ててよいですか?
A. いきなり捨てるのは避けるのが無難です。
あとから「自分の傘だった」と言われる可能性があるため、社内告知→一定期間の保管→処分の順に進めます。
処分は事業系ごみとして、自治体や契約している収集業者のルールに従ってください。
Q2. 置き傘対策にはどのくらいの費用がかかりますか?
A. 棚卸しと処分ルールの整備はほとんど費用がかかりません。
共用の傘の仕組みを外部サービスに任せる場合は、企業規模に応じた月額制が一般的です。
まずは自社の傘立ての本数と増加ペースを確認するところから始めるのがおすすめです。
Q3. オフィス勤務でも熱中症対策は必要ですか?
A. 厚生労働省の通達は、移動時も対象に含まれる趣旨であると明記しています。
屋内が涼しくても、社員が外を移動している時間は検討の対象になります。
具体的な適用は個別の事情によるため、所轄の労働基準監督署や社会保険労務士にご確認ください。
Q4. 来客用の貸し傘はどう管理すればよいですか?
A. 来客に渡した傘はほぼ戻らない前提で考えるのが現実的です。
借りた場所以外でも返せる共用の仕組みにまとめると、在庫管理と補充の手間が減ります。
より詳しい管理方法は「来客用の傘、どうしてる?総務のあるある悩みと解決策」で解説しています。
Q5. 傘立てのスペースはどのくらい必要ですか?
A. 現在の傘立ての収容本数と実際の本数を一度数えるだけで、必要なスペースの目安がつかめます。
持ち主不明の傘を整理すると、同じスペースでも余裕が生まれることが多いです。
Q6. 導入の検討はどこから始めればよいですか?
A. まずは自社の傘立ての本数・増加ペース・処分にかかっている手間を把握することから始めます。
数字が1つあるだけで、社内での話の通りやすさが変わります。
出典・参考:環境省「日傘の活用推進について」(2019年5月21日)https://www.env.go.jp/press/106813.html /厚生労働省 職場における熱中症予防情報(労働基準局長通達 基発0520第6号・令和7年5月20日)https://neccyusho.mhlw.go.jp/ /環境省 熱中症予防情報サイト(暑さ指数)https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt_data.php
※本記事は2026年7月時点の公開情報をもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。
法令の解釈・適用や事業系廃棄物の区分は、自治体のルールや個別の事情により異なる場合があります。
実際の対応にあたっては、所轄の自治体・契約している収集業者、所轄の労働基準監督署、社会保険労務士等の専門家にご確認ください。



