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19時、退勤時の土砂降りでまたコンビニ傘を買う社員に、会社がお金を払う価値はあるのでしょうか。
この記事では、社員1人あたり年8,400円という試算をもとに、傘レンタルの費用対効果を数字で整理します。
費用対効果は「使われるか」で決まる

傘レンタルの費用対効果は、料金の安さよりも実際に使われるかどうかで決まります。
測るものさしは2つです。
社員1人がいくら払わずに済むかという財布の効果と、実際にどれだけ使われたかという利用の証拠です。
この2つがずれやすいのが、置き傘のまとめ買いです。
単価は最も安いのですが、使った日に持ち帰り、翌朝は忘れて戻らないという構造的な欠陥があります。
手元に残らなければ、費用対効果はゼロになってしまいます。
社員の財布:1人あたり年8,400円が「買わずに済む」

突然の雨のたびに買うビニール傘は、1本あたり約700円ほどです。
社員1人あたりの目安として、月に1回買うだけでも年間で約8,400円の出費になるという試算があります。
この出費が実際に消えるかどうかが、費用対効果の入り口です。
ある導入企業の実証アンケートでは、傘があれば突然の雨でも買わずに済むと答えた社員が回答者全員という結果が出ています。
実際の利用率も52.2%でした。
損益分岐点は「何人が使えば元が取れるか」

法人プランは企業規模に応じた月額制で、規模や設置条件によって見積もりが変わります。
金額そのものより先に、計算式を持っておくと見積もりが出たその日に判断できます。
- 年間費用 ÷ 8,400円 = 損益分岐点の人数
- 損益分岐点の人数 ÷ 従業員数 = 必要利用率
前述の実証アンケートで実際に出た利用率は52.2%でした。
この数字と自社の必要利用率を見比べれば、見積書が届いたその場で判断できます。
必要利用率 | 判断の目安 |
|---|---|
20%未満 | 実績値に対して余裕が大きく、数字だけで稟議を通しやすい |
20〜50% | 実績値の範囲内。自社の雨天時の外出頻度を根拠に添えたい |
50%超 | 実績を上回る利用率が前提になる。部署やフロアを絞って条件を見直す |
どの方式を選ぶかは、社員の動線で決まる
傘を用意する方式は大きく3つあり、費用対効果の出方が違います。
置き傘まとめ買い | オフィス内完結型レンタル | 街連動シェアリング型 | |
|---|---|---|---|
返却のルール | なし(自主返却) | オフィスに戻して返す | 街のスポットでも返せる |
直行直帰・出張の日 | 実質使えない | 使えない | 使える |
利用実績の可視化 | できない | 方式による | レポートで出る |
ほぼ内勤で雨天時の外出が月数回程度なら置き傘でも回ります。
外回りや客先訪問、出張があるなら、社内に戻って返す方式は動線に合わず利用率が伸びません。
複数拠点があるなら、街のスポットで返せる方式が向いています。
返却の自由度がそのまま利用率に効くのが、方式選定でいちばん見落とされる点です。
「雨対策」だけで見ると、半分損をしている
晴雨兼用の傘なら、同じ月額で夏の暑さ対策も兼ねられます。
2025年6月に施行された改正省令(安衛則第612条の2)に関する厚生労働省の通達(基発0520第6号)は、対象となる「暑熱な場所」についてこう明記しています。
「必ずしも事業場内外の特定の作業場のみを指すものではなく、出張先で作業を行う場合、労働者が移動して複数の場所で作業を行う場合や、作業場所から作業場所への移動時等も含む趣旨であること」
「オフィスだから関係ない」とは言い切れないと、一次資料が示しています。
通達は該当しない場合でも、改正省令に準じた対応に努めるよう求めています。
効果の面では、環境省の資料(2019年)によると、日射を99%以上カットする日傘の使用で汗の量が約17%減り、日向に比べてWBGT(暑さ指数。
気温・湿度・日射をまとめた指標)が1〜3℃程度下がるとされています。
クールビズ単独の熱ストレス低減が約11%のところ、日傘を併用すると合計約20%まで高まるという数値もあります(人工気象室での実験にもとづく数値。
日傘は熱ストレスを下げる補助的な対策であり、熱中症を防ぐことを保証するものではありません)。
見積もりを取る前に確認したいこと
料金だけを聞いても稟議は書けません。問い合わせの段階で次の点を確認しておくと、往復が減ります。
- 月額の算定根拠(従業員数か、傘の本数か、設置台数か)
- 専用什器の寸法と設置場所の条件(共用部の場合はビル管理会社への申請要否)
- トライアル・試験導入の可否と期間
- 最低契約期間と解約条件
- 利用状況レポートの内容と頻度
これらが揃って初めて、損益分岐点の式に入れる「年間費用」が確定します。
よくある質問
Q1. 費用対効果は本当に合いますか?
A. 「社員1人が買わずに済む金額」と「利用率という使われた証拠」の両面で測ります。
ある導入企業では回答者全員が「買わずに済む」と回答し、利用率も52.2%でした。
Q2. 料金がわからないと計算できないのでは?
A. 年間費用を8,400円で割ると損益分岐点の人数が出ます。
それを従業員数で割った必要利用率と実績値52.2%を見比べるのが、最も早い判断方法です。
Q3. 見積もりで料金以外に確認すべきことは?
A. 什器の寸法、トライアルの可否、最低契約期間と解約条件です。稟議書に書く欄があるのに聞き漏らしやすい項目です。
Q4. 手当で傘代を配るのと、どちらがよいですか?
A. 現金の手当は税・社会保険料の対象になり目減りする場合があり、使途も見えません。
傘を現物で用意する方式は利用状況という証拠が残ります。
税務上の取扱いは税理士にご確認ください。
Q5. 少人数のオフィスでも効果は出ますか?
A. 人数より、移動する社員が突然の雨に何回遭うかで決まります。外回りが多い組織ほど1人あたりの利用回数が伸びます。
オフィスの傘の悩みを、仕組みで解決する
費用対効果を検討するうえでの選択肢のひとつとして、アイカサをご紹介します。
アイカサは2018年12月にサービスを開始した傘のシェアリングサービスで、"使い捨て傘をゼロに"をミッションに掲げています。
アプリ会員数は約100万人(2026年7月時点)、12都道府県・全国1,000駅以上、合計約2,500か所にスポットを設置しています。
法人向けの「アイカサOffice」は、この仕組みをオフィスに持ち込み、傘の補充・メンテナンス・問い合わせ対応をアイカサ側が担います。
街のスポットとも連動するため、オフィスで借りて駅で返す使い方もできます。
料金は企業規模に応じた月額制で、規模や設置条件によって内容が変わります。
『アイカサ』を1回レンタルすることにより、CO2約692gの削減に貢献します(参照:環境省3R原単位の算出方法)。
まとめ
- 年間費用÷8,400円=損益分岐点の人数、÷従業員数=必要利用率。実績値52.2%と見比べる
- 返却の自由度(街で返せるか)が利用率を左右する
- 見積もり前に月額の算定根拠・什器条件・契約条件を確認する
- 移動時も対象になり得るという通達の記載は、稟議の理由づけとして使える
費用対効果は、試算の紙の上ではなく自社で何回使われそうかで決まります。
まずは損益分岐点の計算式に、自社の年間費用を当てはめてみてください。
出典・参考:厚生労働省労働基準局長通達 基発0520第6号(令和7年5月20日)、厚生労働省「職場における熱中症対策」ポータル、環境省報道発表「日傘の活用推進について」(2019年5月21日)
※本記事は2026年7月時点の公開情報をもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。
法令の解釈・適用や税務・社会保険上の取扱いは個別の事情により異なる場合があります。
実際の対応にあたっては、所轄の労働基準監督署、社会保険労務士、税理士等の専門家にご確認ください。



