本方針は、令和8年10月1日に施行された労働施策総合推進法の趣旨を踏まえて策定しています。
1.はじめに
当社は、傘のシェアリングサービス「アイカサ」を運営し、雨の日の移動を快適にすること、そして使い捨てビニール傘の廃棄を減らすことに取り組んでいます。アプリをご利用いただくお客さま、傘スポットをご利用いただく皆さま、スポットを設置いただいている施設・事業者の皆さまに安心してご利用いただけるよう、日々真摯に業務に取り組んでおります。そのために、皆さまからいただくご意見やご要望を大切に受け止め、信頼にお応えすることを最も重要な使命の一つと考えています。
一方で、一部のお客さま等による従業員(当社で就業する派遣従業員、業務委託・個人事業主、パートナー事業者の従業員等を含みます)の人格を否定する言動、威圧的な要求、暴力やセクシュアルハラスメント等、いわゆる「カスタマーハラスメント」は、従業員の尊厳を傷つけ、安全で健全な職場を脅かす深刻な問題です。こうした状況を踏まえ、法改正によって事業主に課された「従業員をカスタマーハラスメントから守るための雇用管理上の措置義務」を、当社は果たすべき重要な社会的責務と受け止めております。
当社は、この社会的責務を果たすとともに、すべての従業員が心身ともに健康で、尊厳を保ちながら安心して働ける環境を確保することを目的として本方針を定めます。従業員一人ひとりが安心して力を発揮できることが、お客さまに対するより安全で質の高いサービスの提供につながると考えています。
なお、本方針は、お客さまからの正当なご意見やご要望、商品・サービスへの建設的なご指摘を拒むものではありません。当社はお客さまの権利を尊重し、誠心誠意対応いたします。その上で、カスタマーハラスメントに対しては、従業員個人の問題とせず、会社として組織的かつ毅然と対応してまいります。
また、当社は、従業員がお客さまや取引先の皆さまに対してハラスメント行為を行うことのないよう、教育・研修を徹底し、すべての関係者の皆さまと健全な関係を築いてまいります。
2.お客さまの正当な権利の尊重
当社は、本方針の運用にあたり、お客さまの正当な権利を不当に損なうことのないよう最大限配慮します。当社の至らない点が不満を招く一因となり得ることを認識し、商品・サービスに関するご意見やご要望は、業務改善につながる貴重なものとして真摯に受け止め、適切かつ迅速な対応に努めます。
また、消費者基本法や障害者差別解消法、認知症基本法の趣旨に基づき、多様なお客さまの権利や特性を踏まえた対応を行います。障害者差別解消法に基づく「合理的配慮」の提供を求めること自体は、カスタマーハラスメントにはあたりません。当社は、すべてのお客さまに安心してご利用いただけるよう、継続的な体制整備と改善に取り組んでまいります。
3.お客さま・ご家族の皆さまへのお願い
当社は、すべてのお客さまと良好な信頼関係を築き、安心してご利用いただけるよう誠心誠意努めております。この関係をより良いものとして維持するため、お客さま及びご家族の皆さまにおかれましても、当社の従業員一人ひとりの人格を尊重し、その言動にご配慮いただけますよう、心よりお願い申し上げます。
それでもなお、お客さま等の言動が当社の定めるカスタマーハラスメントに該当すると判断した場合には、従業員の尊厳と安全な職場環境を守るため、必要に応じて以下のような措置を段階的に、又は状況に応じて講じる場合がございます。
・事実確認のための録音・録画・メール / チャット等の問い合わせ内容保存の実施
・ハラスメント行為の中止のお願い及び警告(警告文の発出を含む)
・傘の貸出・返却に関するサポート、お問い合わせ対応、アイカサに関わる全てのサービス提供の中止・中断
・傘スポット設置場所からのご退去のお願い、及びアイカサ利用規約に基づくアカウント強制退会(アカウントの利用停止)等、今後の利用を制限
・お問い合わせ窓口の切替(担当者の変更、メール・書面等に限定したご対応への切替え)
・傘スポット設置先の施設管理者、鉄道事業者、警備会社等との情報連携及び対応協力の要請
・悪質な場合の警察への通報
・弁護士等への相談の上での法的措置
なお、生命・身体に危険が及ぶおそれがある緊急の場合には、お客さまの安全確保を最優先し、必要に応じて救急への連絡等を行った上で、上記の措置を検討いたします。当社は、すべてのお客さまに公平で質の高いサービスを提供し続けるため、従業員とお客さまの双方にとって安心できる健全な環境の維持に努めてまいります。何卒ご理解とご協力をお願い申し上げます。
4.当社におけるカスタマーハラスメント
当社におけるカスタマーハラスメントとは、労働施策総合推進法及び厚生労働省の指針の内容に基づき、以下の3つの要素をすべて満たす言動を指します。
・お客さま(今後利用の可能性がある方、お客さまのご家族、事業所の近隣住民、取引先、その他関係者を含みます)から行われること
・社会通念上許容される範囲を超えた言動であること
・それらにより、従業員の就業環境が害されること
当社における「お客さま等」と接点
本方針における「お客さま等」には、アイカサアプリのご利用者(会員登録前の方、退会された方を含みます)、傘スポットをご利用の方、スポットを設置いただいている鉄道事業者・商業施設・オフィス・自治体等の関係者、及びこれらの方のご家族・同行者等が含まれます。
接点となる場面は、アプリ内のお問い合わせチャット、メール、電話、 SNS 及びレビュー・口コミ等のオンライン上のやり取りに加え、傘スポットの設置場所、スポットの設置・巡回・傘の補充や回収等の現場、営業・打合せの場等、対面・非対面の双方にわたります。対面の場面に限らず、チャットや SNS 上での言動も本方針の対象です。
定義の考え方
「社会通念上許容される範囲を超えた言動」とは、要求内容に妥当性がない場合や、その伝え方や態度が社会常識から見て不適切な場合を指します。たとえ要求内容に一定の妥当性があったとしても、暴言や威圧的な態度、長時間の拘束、執拗な接触、 SNS への投稿等、行き過ぎた手段であれば該当する可能性があります。
また、「従業員の就業環境が害されること」とは、そうした言動によって従業員が身体的又は精神的に苦痛を受け、本来の力を安心して発揮できなくなる状態をいいます。この判断は「社会一般の平均的な従業員がどう感じるか」を基準とし、一度の行為であってもそれが強い苦痛を与え、即座に就業環境を悪化させる場合にはカスタマーハラスメントにあたります。
5.具体的なカスタマーハラスメント行為
以下に挙げる言動は、当社の定めるカスタマーハラスメントに該当する可能性があります。ただし、これはあくまで例示であり、これらに限定されるものではありません。個別の事案については、前章の定義に基づき総合的に判断します。
(1)要求の内容が妥当性を欠く言動
・業務上の必要性や合理的根拠がないにもかかわらず、対応不可能なサービス・過剰な便宜・書類作成等を強要すること
・当社の商品・サービスに過失が認められない場合での、金銭補償や代金の返還等の要求
・要求の内容が、当社の提供する商品・サービスとは関係がない場合(性的な要求、従業員のプライバシーに関わる要求を含む)
アイカサにおける例
・傘の紛失・破損・延滞に関する料金について、アイカサ利用規約に定めのない返金・免除・補償を執拗に要求すること
・スポットの増設・移設、傘の即時配送、 24 時間の個別対応等、当社が個別にお応えすることが困難な要求を、応じるまで引き下がらない態様で求めること
・通信環境や端末の状況等、当社の責によらない事象を理由に、損害賠償や慰謝料を要求すること
(2)要求を実現するための手段・態様が不相当な言動
・身体的な攻撃: 殴る、蹴る、物を投げつける、唾を吐きかける等の暴行・傷害行為、わざとぶつかる行為
・精神的な攻撃: 脅迫、名誉毀損、侮辱、人格を否定するようなひどい暴言。多数の人がいる前で従業員の名誉を傷つける言動。性的指向・ジェンダーアイデンティティに関する侮辱的な言動及びアウティング又はその強要若しくは禁止。 SNS 等への悪評の投稿をほのめかすことによる脅し。
・威圧的な言動: 大声を出す、机・カウンターを叩く、従業員をにらみつける等の威圧的・恫喝的な言動。従業員の話を遮る等高圧的に自らの要求を主張すること。反社会的な言動を行うこと。
・拘束的な行動: 正当な理由なく、長時間にわたり居座る、又は電話を継続する。退去を求めても応じない(不退去)。
・執拗な(繰り返される)言動: 合理的な理由なく、同じ要求やクレームを何度も繰り返す。当初の話からのすり替え、揚げ足取り、執拗な責め立て。
・土下座、謝罪訪問の要求: 正当な理由なく、土下座や、従業員の自宅への謝罪訪問等を要求すること。
・差別的な言動: 人種、国籍、性別、性的指向・ジェンダーアイデンティティ等に関する差別的な発言。
・性的な言動: 従業員に対して、わいせつな言動やつきまとい、食事やデートへの執拗な誘い等を行うこと。
・従業員個人への攻撃・プライバシー侵害: 従業員の容姿や服装についての中傷。従業員の氏名、写真、映像等を本人の許可なく盗撮、撮影、録音すること。従業員個人を特定できる情報(性的指向等の情報を含む)や、事実に基づかない誹謗中傷を SNS やインターネット上に投稿すること。
アイカサにおける例
・傘スポットの現場において、対応する従業員や、スポット設置先施設のスタッフ(当社の従業員ではない方を含みます)を長時間拘束し、大声で責め立てること
・アプリ内のお問い合わせチャット、メール、 SNS のダイレクトメッセージ等で、同一の要求を執拗に繰り返し送信すること、又は深夜早朝を問わず連続して送信すること
・対応中の従業員や、スポットの設置・巡回・メンテナンス作業中の従業員を無断で撮影・録音し、 SNS やインターネット上に投稿すること、又は投稿するとほのめかして要求を通そうとすること
・従業員個人やスポット設置先の施設を名指しして、事実に基づかない誹謗中傷を SNS 、レビュー、口コミ等に投稿すること
(3)要求内容の妥当性に照らして、手段・態様が不相当な言動
・商品・サービスの瑕疵の程度に比して、社会通念上、著しく高額な金銭補償を要求すること
・「制度を変えろ」「社内ルールを無視しろ」等、従業員には対応不可能な要求を行うこと
・商品・サービスの瑕疵の程度に比して、過度な謝罪の要求(土下座を除く)
6.カスタマーハラスメントへの対応
当社は、カスタマーハラスメントが発生した際、何よりも従業員の安全と尊厳を守ることを最優先とし、組織として以下の対応を行います。
発生時の現場対応
(1)従業員の安全確保:
お客さま等による暴力行為や威圧的な言動が見られる場合には、速やかに当該従業員を現場から引き離す等、身体的・精神的な安全確保を最優先します。必要に応じて警察へ通報します。
(2)組織的な対応:
従業員一人に負担をかけることなく、上長や複数の従業員が連携して対応し、会社として責任をもって対処します。
(3)状況の正確な把握:
お客さま等のご主張と現場の状況を正確に把握するため、必要に応じて記録を行い、後の確認・対応に備えます。記録にあたっては、関係者の個人情報保護に十分配慮し、適切に取扱います。
発生後の対応(事実確認とお客さまへの対応)
(1)迅速かつ客観的な事実確認:
相談窓口や担当部署が中心となり、従業員への聴取、記録の確認、第三者(他の従業員やお客さま)の証言等をもとに、客観的かつ迅速に事実を確認します。
(2)毅然とした対応:
カスタマーハラスメントに該当する行為については、中止を求めます。特に悪質と考えられる行為(暴行、脅迫、過度な要求の繰返し等)については、あらかじめ定めた方針に基づき、商品・サービスの提供拒否、退去要請、今後の対応制限、警告文の発出等の措置を講じます。必要に応じて、警察や弁護士への相談等、法的措置を検討します。
当社は、すべての従業員が安心して働ける環境を守り、お客さまに公平で質の高いサービスを提供し続けるため、毅然とした対応を徹底してまいります。
7.ハラスメント未然防止のための取り組み
当社は、お客さまから寄せられる正当なご意見やご要望を、商品・サービス改善に欠かせない大切な機会と考えています。一方で、当社の初期対応が不適切であれば、お客さまの不満を増幅させ、結果としてカスタマーハラスメントに発展するおそれがあることも認識しています。こうした事態を防ぎ、お客さまとの健全な関係を築くため、当社は次の取り組みを徹底します。
(1)傾聴と共感:
お客さまが何にお困りで、何を求めているのかを正確に理解するため、丁寧に耳を傾け、共感をもってお話を伺います。お客さまの心理や障害・認知症等の特性への理解を深めるための教育を行い、建設的な対話に努めます。
(2)適切な初期対応:
カスタマーサポート(お問い合わせ対応)、スポットの設置・巡回等を担うフィールド業務、設置先を担当する営業等、お客さま等と接するすべての従業員及び業務委託先を対象に、言葉遣いや事実確認の要点等、クレーム初期対応に関する教育・研修を定期的に実施し、お客さま対応力の向上を図ります。
(3)事実に基づく誠実な対応:
状況を正しく把握した上で、当社に過失がある場合は真摯に謝罪し、規定に基づく適切な対応を迅速に行います。その場で判断できない場合は、安易に回答せず、確認の上であらためてご連絡します。
(4)対応プロセスの改善:
いただいたご意見や対応事例を社内で共有・分析し、商品・サービスだけでなく、お客さま対応プロセス全体の継続的な改善にいかします。
(5)他者への加害防止:
当社は、当社で働くすべての者が他の事業主の雇用する労働者に対してカスタマーハラスメントを行わないよう、必要な注意を払うための啓発活動に努めます。
8.取引先の皆さまとの連携について
当社は、傘スポットを設置いただいている鉄道事業者・商業施設・オフィス・自治体等の設置先パートナーの皆さま、及び傘の製造・物流・保守、システム開発等をお願いしている取引先の皆さまを、事業活動における重要なパートナーと考えており、相互に尊重し合える健全な関係の構築に努めています。サプライチェーン全体でカスタマーハラスメントを防止するため、以下のとおり連携してまいります。
(1)相互尊重と健全な関係の構築:
当社の従業員が、お客さまや設置先パートナー・取引先の従業員の皆さま(駅係員、施設スタッフ、清掃・警備スタッフ等を含みます)に対してハラスメント行為を行うことのないよう、教育・研修を徹底します。当社の従業員(役員を含む)が他社の従業員に対してカスタマーハラスメントを行った事実が確認された場合には、就業規則等に基づき厳正に対処します。
(2)誠実な連携対応:
取引先の皆さまから、カスタマーハラスメントに関するご相談や、事実関係の確認(特に当社従業員の言動が関与する場合)について協力のご依頼があった際には、真摯に受け止め、迅速に対応するよう努めます。これは、改正労働施策総合推進法第 33 条第 3 項に定められた事業主間の協力努力義務に基づくものでもあります。
(3)公正な関係の維持:
上記のようなご相談や協力依頼があったことを理由として、取引先との契約を見直す等、不利益な取扱いを行うことは一切ございません。
(4)フリーランス・業務委託の方への配慮:
当社は、当社で就業するフリーランス等の皆さまに対しても、当社の従業員と同様に、カスタマーハラスメントから保護し、万が一被害の相談があった場合には、必要に応じて適切な対応を行うよう努めます。
取引先の皆さまにおかれましても、本方針にご理解をいただき、ともにハラスメントのない環境の構築にご協力くださいますようお願い申し上げます。
株式会社 Nature Innovation Group 代表取締役 丸川 照司
制定日: 2026 年 10 月 1 日(令和 8 年 10 月 1 日)