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14時、直射日光の照りつける歩道を客先まで徒歩12分。
名刺交換のときには、ワイシャツが背中に張りついている——真夏の外回りにつきものの光景です。
この記事では、外回り営業の暑さ対策を、法令上の位置づけ・環境省のデータ・会社としての備え方の3つの角度から整理します。
- 外回りの移動時間が、法令上どう扱われるか
- 環境省が公表している日傘の効果データ
- 会社として日傘を常備するときの考え方
移動時間は「対象外」と言い切れない

2025年6月1日に施行された改正労働安全衛生規則(安衛則第612条の2)により、一定の暑熱環境で働く人を抱える会社に熱中症対策が義務づけられました。
対象になるかどうかは、「場所の暑さ」と「そこにいる時間」の組み合わせで決まります。
- 暑さ指数(WBGT)28度以上、または気温31度以上の場所(WBGTは気温・湿度・日射などをまとめた指標)
- その場所での作業が継続して1時間以上、または1日あたり合計4時間超と見込まれること
この2つをどちらも満たすと、義務化の対象になります。
重要なのは「場所」の範囲です。
厚生労働省の通達には、次のように明記されています。
「必ずしも事業場内外の特定の作業場のみを指すものではなく、出張先で作業を行う場合、労働者が移動して複数の場所で作業を行う場合や、作業場所から作業場所への移動時等も含む趣旨であること」。
オフィス中心の会社であっても、真夏に客先を回り続ける営業活動は、条件次第で対象になり得るということです。
対象に当たらない場合も、同じ通達は改正省令に準じた対応に努めるよう求めています。
自社が対象かどうかは、次の順で確認すると判断しやすくなります。
- 環境省「熱中症予防情報サイト」で、主な営業エリアの暑さ指数を確認する
- 前年の夏にWBGT28度/気温31度を超えた日がどの程度あったかを大づかみに押さえる
- 営業部門に「屋外にいる時間の合計」と「連続でいちばん長い屋外移動」をヒアリングする
屋外の徒歩移動が1日合計4時間を超える、または連続1時間以上歩く日が定期的にあるなら、該当の可能性が高いといえます。
環境省が示す日傘の効果

日陰を持ち歩ける道具だと考えると、効きどころがイメージしやすいはずです。
環境省は2019年、日傘の効果を数値で示した資料「日傘の活用推進について」を公表しました。
項目 | 環境省の資料が示す効果 |
|---|---|
使用した日傘 | 日射を99%以上カットするもの |
汗の量 | 約17%減 |
暑さ指数(WBGT) | 日向に比べ1〜3℃程度低減 |
クールビズとの併用 | 単独で約11%低減のところ、日傘併用で合計約20%低減 |
いずれも人工気象室で行われた実験にもとづく数値です。
実験の条件は次のとおりです。
- 気温 30℃ / 湿度 50%
- 日射量 1.2kW/㎡ / 風速 0.5m/s
- 被験者 男性6名、15分間の歩行運動を2回
実際の屋外環境や傘の遮光性能によって効果は変わります。
社内提案では、クールビズ単独の約11%が、日傘併用で約20%になるという一文がいちばん効きます。
すでにクールビズに取り組んでいる会社なら、いまの取り組みに1つ足すだけで低減幅がほぼ倍になるからです。
ただし日傘は、水分・塩分の補給や休憩と組み合わせて効く補助的な対策です。
「日傘さえあれば大丈夫」ではない点は、社内に伝えるときに添えておくと安心です。
「男性営業が日傘なんて」を、会社の備品で越える

使われない理由は、効果への疑いではありません。
次の3つです。
- 買う手間——わざわざ自分で選んで買うほどではない
- 持ち歩く負担——毎日カバンに入れておくのが面倒
- 客先での気後れ——自分だけ浮かないかが気になる
個人任せにすると、いちばん暑さにさらされる人ほど使わない、というねじれが起きます。
効くのは「個人の選択」から「会社の装備」への切り替えです。
会社が晴雨兼用の傘を用意し、「暑い日はさして行ってよい」と明示すれば、浮くかどうかのハードルは下がります。
まずは屋外移動がいちばん長い1チームで試し、実際に使った社員の声を社内に共有すると、次に使う人の抵抗感が自然に減っていきます。
常備の方式を選ぶ
外回りの日傘と、エントランスの置き傘・傘立ての散らかりは、同じ「傘の管理」問題の表と裏です。
分かれ目になるのは、直行直帰が月にどれくらいあるかという点です。
- 月0回(ほぼゼロ)——会社で買って傘立てに置く方式でも回る
- 月1回以上(週1回でもある)——返却場所がオフィスだけの方式では、必ずどこかで戻らない傘が出てくる
私物と共用が混ざりやすい会社は、共用の傘を専用の置き場に分けるだけでも見え方が変わります。
費用を比べるときは、傘そのものの単価ではなく、次をすべて含めた年間の総額で見るのがおすすめです。
- 傘の購入費(初期)
- 年間の補充・買い替え費
- 保管スペース
- 総務の管理工数
継続的に効いてくるのは、多くの場合、補充と管理に費やす総務の時間のほうです。
オフィスの傘の悩みを、仕組みで解決する「アイカサOffice」
「持ち歩かなくていい」「返しに行かなくていい」形で日傘を常備し、エントランスの傘立ての散らかりも同時に解く選択肢として、傘・日傘シェアリングのアイカサがあります。
"使い捨て傘をゼロに"をミッションに2018年12月に開始した、日本初の本格的な傘のシェアリングサービスです。
アプリ会員数は約100万人、12都道府県・全国1,000駅以上、合計約2,500か所のスポットに傘を設置しています(いずれも2026年7月時点)。
法人向けの「アイカサOffice」は、この仕組みをオフィスに持ち込むサービスです。
- オフィスで借りた傘は、外出先や最寄り駅、商業施設で返せます。直行直帰の日でも、持ち帰って戻らないということが起きません。
- オフィスに設置する専用の傘立ては、アプリ登録なしでそのまま使えます。
- 晴雨兼用の傘なので、夏の外回りの暑さ対策にも、急な雨にもそのまま使えます。
- 同じ規格の傘がまとまって置かれるため、来客にもそのまま貸し出せます。
- 補充・メンテナンス・社員からの問い合わせ対応はアイカサが行います。
- 利用回数・利用者数のレポートを提供するため、継続の判断材料が手元に残ります。
料金は企業規模に応じた月額制です。詳細はお問い合わせください。
アイカサを1回レンタルすることにより、CO2約692gの削減に貢献します。(参照:環境省3R原単位の算出方法より)
よくある質問
Q1. 外回りの移動時間も熱中症対策義務化の対象になりますか?
A. 通達では、対象に「作業場所から作業場所への移動時等も含む趣旨」と明記されています。
暑さ指数28度以上または気温31度以上の場所で、継続1時間以上または1日4時間超が見込まれる作業が対象です。
Q2. 暑さ指数(WBGT)はどう確認すればよいですか?
A. 通達では、通風のよい屋外作業について、天気予報アプリや環境省の熱中症予防情報サイトの活用で判断できる場合はそれでも差し支えないとされています。
まずは自社の営業エリアの暑さ指数を確認するところから始めてください。
Q3. 対象外でも何かする必要はありますか?
A. 通達は、対象に当たらない場合であっても改正省令に準じた対応に努めるよう求めています。
移動時の暑さ対策は、対象・対象外にかかわらず備えておくのがおすすめです。
Q4. 会社で日傘を用意する場合、費用はどう考えればよいですか?
A. 傘の単価ではなく、補充・再購入・保管・総務の管理工数まで含めた年間の総額で比べることをおすすめします。
傘のシェアリングを使う場合は企業規模に応じた月額制で、詳細はお問い合わせください。
Q5. 来客用と社員用が混ざる傘立ての問題も同時に解けますか?
A. 解けます。
荒れる原因の多くは「借りた傘が戻ってくる保証がない」構造にあるため、オフィス以外でも返せる形にすると、翌朝戻らない問題自体が起きにくくなります。
Q6. 日傘だけで外回りの熱中症は防げますか?
A. 日傘は体感温度と発汗を抑える補助的な対策です。
水分・塩分の補給、休憩、訪問時間の調整とあわせて使うことが前提です。
まずは営業マネージャーに、真夏の一日でどれくらい屋外にいるかを聞くところから始めてみてください。
そこが分かれば、対象判定も社内の備えも一気に前に進みます。
出典・参考: 厚生労働省「職場における熱中症対策」改正労働安全衛生規則(令和7年厚生労働省令第57号)および労働基準局長通達 基発0520第6号 https://neccyusho.mhlw.go.jp/ /環境省「日傘の活用推進について〜夏の熱ストレスに気をつけて!〜」(2019年5月21日報道発表) https://www.env.go.jp/press/106813.html /環境省「熱中症予防情報サイト(暑さ指数WBGT)」 https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt_data.php
※本記事は2026年7月時点の公開情報をもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。
法令の解釈・適用や税務上の取扱いは個別の事情により異なる場合があります。
実際の対応にあたっては、所轄の労働基準監督署、社会保険労務士等の専門家にご確認ください。
記事中で引用した出典元の資料もあわせてご参照ください。



