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ビニール傘の廃棄と夏の暑さ対策——総務が傘立てから始める2つの打ち手

「今年これで4本目」。突然の雨で駅前のコンビニに駆け込み、また同じ透明の傘を買う——この一場面の積み重ねが、傘立ての滞留と廃棄を生んでいます。この記事では、雨の日の「捨てられる傘」問題と夏の「暑さ対策」を、傘立てという同じ場所からまとめて整理します。

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アイカサ編集部
監修:アイカサ編集部
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ビニール傘の廃棄と夏の暑さ対策——総務が傘立てから始める2つの打ち手
目次

「今年これで4本目」。
突然の雨で駅前のコンビニに駆け込み、また同じ透明の傘を買う——この一場面の積み重ねが、傘立ての滞留と廃棄を生んでいます
この記事では、雨の日の「捨てられる傘」問題と夏の「暑さ対策」を、傘立てという同じ場所からまとめて整理します。

ビニール傘が「捨てられる前提」で買われている

ビニール傘が「捨てられる前提」で買われている

国内で傘がどれだけ使い捨てられているかを正確に示す公的な統計はありません。
「使い捨て傘」の定義自体が定まっていないためです。
ただ、コンビニや駅で数百円の傘がいつでも買え、雨が上がればその傘が置き忘れられていく光景は、多くの方が実感としてご存じのとおりです。

アイカサが2026年2月に行った調査では、自宅に使える傘があるのにコンビニ等でビニール傘を買った経験がある人が66.8%いました。
傘が足りないから買うのではなく、「今この瞬間濡れたくない」から買う。
ここが、傘が増え続ける入口です。

コストにも置き換えられます。
ビニール傘は1本あたり約700円ほどで手に入るため、月に1回買い替えるだけでも社員一人あたり年間およそ8,400円の出費になるという試算があります。
安さゆえに「買って、濡れをしのいで、置いていく」というサイクルが回りやすいのが、この傘の特徴です。

なぜビニール傘はリサイクルできないのか

なぜビニール傘はリサイクルできないのか

素材が細かく混ざり合っていて「分けられない」ためです。
生地は透明なビニール、骨組みは金属、持ち手や露先はプラスチック。
リサイクルは素材ごとに分けることから始まりますが、ビニール傘はこれらが縫い付けと金具で一体になっており、手作業で解体しない限り分別できません
安価な使い捨て品を一本ずつ分解するのは採算に合わず、大半が分けられないまま廃棄されているといわれています。

稟議書に一文で書くなら、こうなります。
「ビニール傘は金属・樹脂・ビニールが金具で一体化しており、素材分別に手作業の解体を要するため再資源化されにくい。
削減は処分方法ではなく購入本数の抑制で行うのが合理的である」。

オフィス・総務にとっても他人事ではない

オフィスの傘立てで起きていることは一本道です。
突然の雨で社員が駅前で傘を買う、濡れたまま会社の傘立てに置く、翌朝は晴れているので持ち帰らない、次の雨の日には自分の傘がどれか分からず、また買う。
こうして傘立ては誰のものでもない傘で埋まりやすくなります

では自社は「問題レベル」なのか。一律の本数基準はないため、割合で見ます。

状態

判断

打ち手

持ち主不明傘が社員数の1割未満

正常範囲

年1回の棚卸しルールだけ整えれば十分

社員数の1割以上が常時滞留

滞留のサイン

棚卸し+「買わずに済む仕組み」を検討

大掃除のたびにまとめて廃棄が発生

構造的な問題

入口(購入本数)の対策が必須

300名の会社なら「持ち主不明の傘が常時30本を超えていないか」が最初の目安です。
この1割という線は、廃棄量の統計ではなく、自社の傘立てが正常か異常かを判断するための実務的な目安として使ってください。

なお、オフィスから出る傘は家庭ゴミではなく事業系の廃棄物として扱われ、分別区分は自治体や契約収集業者によって異なります。
総務が向き合っている本当の問題は「たまった傘をどう捨てるか」ではなく、買われた傘が持ち主のもとに戻らず溜まり続ける構造そのものです。
処分ルールを整えても、入口で買われる本数が変わらなければ翌年もまた同じだけ積み上がります。

今日から始める3ステップ

1. 傘立ての棚卸し

まず現状把握です。
設置場所ごとの総本数、名前や目印がある傘、持ち主不明の傘、破損している傘を数え、現在の告知方法と年間の傘まとめ買い費用を書き出します。
現在かかっている費用(まとめ買い費・処分費・担当者の工数)を先に出しておくと、共用傘や傘シェアリングの見積もりが届いたときに、その場で比較判断ができます

2. 持ち主不明傘のルールを決めて、告知する

告知なしに処分すると、必ずトラブルになります。
「掲示から◯週間、名札のない傘は処分」というルールを決め、全社に一度流します。
名札を貼る期限、処分する日、破損傘は名札の有無にかかわらず処分対象とすること、そして今後は買わずに済む仕組みの導入も検討している旨を伝えておくと、単なる片付けの案内が次の打ち手の合意づくりに変わります

3. 「その場で買わずに済む」状態をつくる

廃棄が増える根本原因は、突然の雨のたびに社員が新しい一本を買うことです。
通勤が徒歩中心で一拠点のみなら共用傘のまとめ買いと貸出台帳でも回りますが、電車通勤が中心で複数拠点や外回りが多い場合は、借りた場所以外でも返せる仕組みが向いています
来客や取引先にも貸すことがあるなら、返却場所が社外にもある仕組みがほぼ必須になります。

同じ傘立てを、夏の暑さ対策の起点にする

同じ傘立てを、夏の暑さ対策の起点にする

傘立ては雨の日だけのものではありません。夏の総務の悩みも、ここから手が付けられます。

職場の熱中症対策は、2025年6月1日施行の改正省令(安衛則第612条の2)で事業者の措置義務が定められました
ここで見落とされやすいのが対象範囲です。
厚生労働省の通達には、「暑熱な場所」(WBGT28度以上または気温31度以上)について次のように明記されています。

「必ずしも事業場内外の特定の作業場のみを指すものではなく、出張先で作業を行う場合、労働者が移動して複数の場所で作業を行う場合や、作業場所から作業場所への移動時等も含む趣旨であること」(厚生労働省労働基準局長通達 基発0520第6号)

つまり「うちはオフィス勤務だから関係ない」とは即断できません。
対象作業は「継続して1時間以上または1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれる作業」とされ、該当しない場合でも通達は改正省令に準じた対応に努めることを求めています
求められるのは、報告体制の整備、悪化防止の措置内容と手順の作成、作業者への周知の3点です。
周知は掲示・メール・文書配布・朝礼での口頭伝達のいずれでも差し支えないとされています。

打ち手

内容

日傘を使える環境にする

男性社員も使いやすいよう「日傘可」を明文化。共用傘が晴雨兼用なら追加コストなしで運用できる

報告体制と手順の周知

体調不良時の報告先と、冷却・休憩・受診の手順を1枚にして掲示・メール送付

身体を冷やす手段の常備

通達では涼しい休憩所への避難、ミストファン、アイススラリー(流動性の氷状飲料)の摂取などが例示されている

WBGTの確認を習慣にする

環境省の熱中症予防情報サイトで暑さ指数を確認する

外出先の避難場所を把握

気候変動適応法に基づく指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)は1,255市区町村が指定(令和8年7月3日現在)

環境省の資料によると、日射を99%以上カットする日傘を使った実験で汗の量が約17%減ることが分かったとされ、日向に比べて1〜3℃程度のWBGT低減効果が確認されています。
クールビズ単独では約11%の低減にとどまるところ、日傘を併用すると合計約20%低減できるとされ、その効果は「10m間隔で街路樹を形成する効果に匹敵する」と表現されています(人工気象室での実験にもとづく数値。
熱中症を防げるというものではなく、熱ストレスを下げる補助的な対策として位置づけてください)。
社内提案では「クールビズの効果を倍近くにできる手段が、傘立てにある晴雨兼用傘」という一行が通りやすい説明になります。

よくある質問

Q1. 共用の傘を会社で用意すれば解決しますか?

A. 通勤が徒歩中心の一拠点なら、まとめ買いと貸出ルールでも回ります。
電車通勤や複数拠点・外回りが多い場合は、返す場所が社内だけだと持ち帰られたまま戻らない問題が残るため、借りた場所以外でも返せる仕組みが向いています

Q2. 導入コストはどう比較すればよいですか?

A. まず自社の現状コスト——年間の傘まとめ買い費用、一斉処分の費用、担当者の工数、社員が個人で買っている分——を棚卸しで出してください。
この数字があれば、見積もりを受け取った時点で社内比較ができます

Q3. オフィス勤務でも夏の熱中症対策の義務はありますか?

A. 通達では、対象となる「暑熱な場所」は事業場内外の特定の作業場のみを指すものではなく、出張先での作業や作業場所間の移動時等も含む趣旨とされています
該当しない場合も、改正省令に準じた対応に努めるよう求められています。

Q4. ビニール傘はどう処分すればいいですか?

A. 事業所から出る傘は事業系の廃棄物にあたり、自治体や契約収集業者の分別区分に従って処分します。
金属とビニールを分解する必要があるかは、契約収集業者や自治体の担当窓口に確認してください

Q5. 日傘に熱中症対策の効果はありますか?

A. 環境省の資料では、日射を99%以上カットする日傘を使った実験で汗の量が約17%減り、日向に比べて1〜3℃程度のWBGT低減効果が確認されています。
限られた実験条件下の数値であり、熱中症を防ぐことを保証するものではなく、予防に役立つ補助的な対策として位置づけられます

オフィスの傘の悩みを、仕組みで解決する

買って捨てる流れそのものを止める取り組みとして、傘のシェアリングがあります。
アイカサは2018年12月にサービスを開始した傘のシェアリングサービスで、"使い捨て傘をゼロに"をミッションに掲げています。
アプリ会員数は約100万人(2026年7月時点)、12都道府県・全国1,000駅以上、合計約2,500か所にスポットを設置しています。

法人向けの「アイカサOffice」は、この仕組みをオフィスに持ち込み、傘の補充・メンテナンス・問い合わせ対応をアイカサ側が担います。
街のスポットとも連動するため、オフィスで借りて駅で返す使い方もできます
晴雨兼用の傘もあり、夏の通勤や外回りの暑さ対策にも使えます。
料金は企業規模に応じた月額制で、規模や設置条件によって内容が変わります。

『アイカサ』を1回レンタルすることにより、CO2約692gの削減に貢献します(参照:環境省3R原単位の算出方法)。

まとめ

  • ビニール傘は素材が金具で一体化して分別できず、構造上リサイクルが難しい製品
  • オフィスの本当の問題は処分方法ではなく、買われた傘が戻らず溜まり続ける構造。持ち主不明傘が社員数の1割を超えたら滞留のサイン
  • 棚卸しで現状コストを出す、告知してルールを決める、買わずに済む仕組みに置き換える、の順で進める
  • 同じ傘立ては夏の暑さ対策の起点にもなる。通達は移動時も含む趣旨とされており、晴雨兼用傘はクールビズの効果を補完する手段になる

まずは今週、傘立ての本数と年間の傘まとめ買い費用を数えるところから。
この2つの数字が、雨の日と夏の両方の打ち手を動かす材料になります。

▼ アイカサOfficeの導入相談・お見積もりはこちら

出典・参考:厚生労働省労働基準局長通達「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」基発0520第6号(令和7年5月20日)、環境省報道発表「日傘の活用推進について〜夏の熱ストレスに気をつけて!〜」(2019年5月21日)、環境省 熱中症予防情報サイト(暑さ指数・クーリングシェルター)、ビニール傘の購入経験に関する数値は自社調査(2026年2月実施)

※本記事は2026年7月時点の公開情報をもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。
法令の解釈・適用は個別の事情により異なり、廃棄物の分別区分・処理方法は自治体や契約収集業者によって異なります。
記載の費用は試算であり、日傘の効果に関する数値は限られた実験条件下のものです。
実際の対応にあたっては、所轄の労働基準監督署、社会保険労務士等の専門家、および所在地の自治体の廃棄物担当窓口・契約収集運搬業者にご確認ください。

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アイカサ編集部
監修:アイカサ編集部(傘シェアリングサービスの運営チーム)

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