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アイカサを運営する Nature Innovation Group は2026年8月、「使い捨て傘の実態調査2026」を公表しました。ビニール傘が1年間にどれだけ使われているかを、貿易統計と利用者アンケートの両面から推計したものです。
この記事では、その調査で何が分かったのかを整理します。数字はすべて推計であり、調査の方法と範囲を添えて読んでいただくためのものです。
調査でわかったこと
ビニール傘の年間消費本数は推計 約2,881万本(およそ3,000万本)でした。雨の降る日をならすと、1日あたり約25万本が使われている計算になります。
この推計は、財務省貿易統計(2015〜2025年)の傘の輸入本数と、気象庁の降水日数、そして利用者アンケートの購入実態を組み合わせたものです。全国の年間降水日数は約115日(2021〜2025年の5年平均)として計算しています。
どうやって数えたのか
調査の設計は次のとおりです。推計値を読むときは、この範囲を前提にしてください。
調査方法 | インターネット調査(2段階) |
|---|---|
対象 | 全国20〜69歳の男女 |
回答数 | スクリーニング3,000名 / 本調査700名 / 有効回答249名 |
調査期間 | 2026年7月14日〜17日 |
併用した統計 | 財務省貿易統計(2015〜2025年)、気象庁の降水日数 |
監修 | 国立環境研究所 資源循環社会システム研究室 室長 田崎智宏氏 |
ビニール傘だけを直接数えた統計は存在しません。傘全体の輸入本数に、アンケートで得られた「買った傘のうちビニール傘が占める割合」を掛け合わせて推計しています。実測値ではなく推計である点は、この調査の性質として押さえておく必要があります。
傘の輸入は減っている
意外に思われるかもしれませんが、日本に入ってくる傘の本数はこの10年で減っています。
2015年 | 約1億3,093万本 |
|---|---|
2021年 | 約7,041万本(外出が減った年) |
2025年 | 約8,811万本 |
2015年と2025年を比べると約33%減。同じ期間に、折りたたみ傘の占める割合は約19%から約41%へと倍増し、1本あたりの平均輸入単価も290.5円から498.9円へ、およそ1.7倍になりました。
安い長傘を数多く輸入する形から、持ち歩ける傘を選んで買う形へ。市場全体としては、この10年で確実に変化しています。
それでも使い捨てが残る理由
市場が変わっても、突然の雨で傘を買う行動はなくなっていません。調査でとくに目を引いたのは次の数字です。
突然の雨でビニール傘を買った人のうち、95%は自宅に使える傘を持っていました。
持っていないから買うのではなく、持っているのに、その場にないから買う。これが使い捨てが減らない理由の中心にあります。
過去1年間に傘を買った人は28%。そのうち3人に1人が「その場でビニール傘を買った」経験を持っていました。買った傘の内訳は、ビニール傘35%・それ以外の長傘29%・折りたたみ傘36%。長傘に限れば、2本に1本以上がビニール傘です。
買う瞬間に何を考えているか
その場で傘を買った理由は、次の順に多くなっています。
- 濡れるストレスを避けたい(53%)
- 目的地まで距離があり、傘が要る(47%)
- 雨が止むのを待つ時間がない(41%)
いずれも「その場をしのぐ」ための判断です。環境への配慮が足りないから買うのではなく、濡れずに移動する手段がその瞬間に他になかった、という順序で起きています。
だとすれば、減らすために必要なのは呼びかけではありません。雨に降られたその場所で、傘を買う以外の選択肢が実際に手に届くことです。
アイカサが取り組んでいること
アイカサは2022年から「2030年使い捨て傘ゼロプロジェクト」を進めています。駅や商業施設に傘を置き、必要なときに借りて、別の場所で返せるようにする取り組みです。
2026年8月時点で、アプリ会員は92万人以上、傘を借りられるスポットは2,500か所以上。東京・関東・関西・愛知・岡山・福岡・佐賀など14都道府県に広がっています。
代表の丸川は今回の調査について、「問題は傘そのものではなく、使い捨てにされることにある」と述べています。傘が必要な場面をなくすことはできません。必要になったときに、買う以外の選択肢があるかどうかが分かれ目になります。
よくある質問
Q. 約3,000万本という数字は正確なものですか。
推計値です。ビニール傘だけを数えた統計はないため、貿易統計の輸入本数にアンケートで得た構成比を掛けて算出しています。推計値としては約2,881万本で、記事や見出しではこれを丸めて「約3,000万本」と表記しています。
Q. 有効回答249名は少なくないですか。
本調査の対象は700名ですが、回答の品質確認を通過した249名を集計に用いています。母数を絞ることで精度を優先した設計です。調査の性質上、幅を持って読む必要があります。
Q. 傘の輸入が減っているのに、使い捨てが問題になるのはなぜですか。
輸入本数は10年で約33%減りましたが、突然の雨でその場しのぎに買う行動は残っています。市場全体が縮んでも、雨に降られた瞬間の選択肢が変わらなければ、使い捨ては続きます。
Q. 調査結果の全文はどこで読めますか。
プレスリリース(PR TIMES)に、グラフを含む詳細が掲載されています。
まとめ
この調査が示したのは、使い捨て傘が「意識の低さ」ではなく「その場の選択肢のなさ」から生まれているということです。買った人の95%が家に傘を持っていたという数字が、それを端的に表しています。
数字はいずれも推計であり、調査の範囲と方法を前提としたものです。そのうえで、雨の日に何が起きているかを考える材料になれば幸いです。



